アカウンタビリティ・セルフチェック

アカウンタビリティ・セルフチェック(ASC)は、NGOがアカウンタビリティの状態を定期的に自己診断するツールであり、NGOによる組織体制の確認や改善の取組みを公表する制度でもある。組織の改善点を明確にすることを助け、組織運営者自身が、その活動をより多くの人に理解するために使用できる作りとなっている。

作成団体
日本国際協力NGOセンター (JANIC)
対象者

国際協力NGO。組織の大小、事務局の所在地、法人格の有無に関わらず自団体のアカウンタビリティへの取り組み状況をチェックできる内容となっている。

背景

ASCは、日本のNGOが市民から信頼される組織として発展するために、組織強化のための自己診断ツールとして活用されることを目的とし、様々なNGOと時間をかけて話し合い、意見を聞き、作成された。国際的な基準を参考に、日本の事情や法令を加味して作成された4分野41のチェック項目からできている。

項目
  1. 組織運営基準
    1. 目的
    2. 組織と運営
    3. 財務
    4. 人材の育成
    5. 情報の保護と共有
  2. 事業実施基準
    1. 全般
    2. 計画
    3. 実施・モニタリング
    4. 報告・評価
  3. 会計基準
    1. 基本ルール
    2. 日常の会計処理
    3. 予算・決算
  4. 情報公開基準
    1. 全般
認証の有無

あり。

ただし、第3者が調査・判断する一般的な組織評価の認証制度ではなく、団体関係者が主体的に取り組み、「気づき」を得ることこそが継続的にアカウンタビリティにとりくむ鍵となるとの考えから、自己診断方式を採用している。所定手順に沿って実施を完了したされた団体にはASCマークを発行。団体は年次報告書に掲示するなど、広報媒体等で使用できる。

チェックシートの有無

あり

詳細
所要時間

2時間前後

評価方法

4分野41項目に関して「実現している」「実現していない」の2択方式
準備書類と3者以上の職員+立会人のもとに行う。

アカウンタビリティの向上は、団体関係者が一丸となって取り組むことが成功の鍵という観点から、次の団体内の異なる立場の3者によるセルフチェックの実施が求められている。

  1. 代表もしくは役員
  2. 事務局長または事務局の統括責任者
  3. 事務局スタッフ(原則勤続2年以上)

また、上記の3者に加えて、ASCの指針が適切な理解の元にチェックされているかどうかの客観性を保つために、JANIC理事長に任命されたNGO関係者やJANIC職員が務める立会人の同席が必要となる。

また立会い時には1. 16の団体書類(年次報告書や会計帳簿など)2. 可能な範囲で用意することを推奨する書類(中長期計画書、個人情報保護方針等)3. 団体内のウェブサイトや共有フォルダーにアクセスできるパソコン類の準備が必要となる。

ツール作成年月日

2012年(2008年発行されたASC2008の改訂版)

普及度

日本国内のNGO 61団体

事例提供のお願い

日本をはじめアジア太平洋地域で活動するCSOのアカウンタビリティ確保に関する実践例を探しています。貴団体が作成した、またはお使いの実践ツールをお送りください。